硝子体とは網膜と接して存在し、眼の中の大部分を占める透明なゼリー状の組織です。この硝子体が網膜を引っ張ったり、濁ったりすることで、網膜前膜や網膜剥離、硝子体混濁など様々な眼の奥の病気を引き起こします。
硝子体手術は、こ のような眼の奥に生じる疾患に対して行われる手術で、眼科領域で最も高度な手術の一つです。
昔は大学病院や総合病院で入院しなければ受けられなかった硝子体手術も、現在の医学、医療機器の進歩によりクリニックでも安全に日帰りで手術が行えるようになりました。
硝子体手術は日帰りで行いますが、手術の予約から実際に手術を受けていただく日までに、何度か来院していただく必要がございます。
眼底検査、視力検査、画像検査などを行い、病状を説明致します。
診察で手術が決まると、手術日を決定していきます。 当院の手術日は月曜日と水曜日です。両眼手術を予定する場合は、約2週間あけて予約をお取り致します。(病状や予約状況によって異なります。)さらに、術前検査日、手術説明日(同日に致します)も決めていきます。
手術の約2週間~1か月前をめどに行います。
手術に必要となる眼の詳細な検査を致します。 瞳を広げる散瞳検査、画像検査、ゆがみの検査や採血など多岐にわたります。白内障手術を同時にする場合は、その検査も行います。
手術に関する詳しい説明も同じ日にさせて頂きます。手術の内容、手術前後の注意点などを説明致します。白内障手術も同時に行う場合は、検査結果をもとに眼内レンズの度数を決定いたします。
手術の3-5日前に来院して頂きます。眼の状態を最終チェックし、手術の3日前からさしていただく点眼を処方します。
この日に手術当日の来院時間をお伝えします。
指定の時間(午前11時半か午後12時半)に来院して頂きます。
受付後に2階のリカバリールームへご案内します。手術までの間、瞳を広げる点眼や麻酔薬の点眼を何度もさしながら、血圧を測定したり、術中術後の注意点などをお話しします。順番が来ましたら、術衣を着て手術室へ移動して頂きます。
麻酔は、局所麻酔です。
まず、点眼麻酔を使用し、眼球表面に麻酔を効かせます。その後、ベッドに仰向けになり、目元の消毒をし、清潔なカバーをお顔の上にかけ、まぶたが閉じないように器具で目を大きく開きます。
白目(結膜)から目の奥に麻酔薬を注入する麻酔方法(テノン嚢下麻酔)も併用し、眼球全体に麻酔を効かせます。点眼麻酔が効いているので、痛みはありません。
さらにリラックスして手術を受けていただけるように笑気麻酔も併用しております。
手術中に痛みを感じるようであれば、麻酔の追加が可能です。
白内障手術を同時にする方は、白内障手術を先に行います。 白内障手術については、こちら。⇒
①
術中に眼球の形態を保つための灌流液(お水)を入れるための穴。
②
眼内を照らす照明を入れるための穴。
③
硝子体を切除するカッターや膜を剥ぐ鑷子(ピンセット)など手術に必要な器具を入れるための穴。
出血などで濁った硝子体は、カッターといわれる装置で切除しますが、切除した硝子体の分量だけ眼内に潅流液(お水)が入っていき、入れ替わっていきます。硝子体を切除後、網膜へ必要な処置をします。網膜上の膜の除去、網膜裂孔へのレーザー凝固などがあります。
ガスやオイルによって剝離した網膜をもとの位置に戻したり、あいた穴を閉じさせたりします。術後うつむきの姿勢が必要となります。
ガスは1週間程度で眼内の水に置き換わります。シリコンオイルは、より重症例に使用され、眼内の状態が落ち着いたら再手術により除去します。
※硝子体手術をおこなうと、白内障が急速に進行します。また、白内障手術を同時に行うと、硝子体手術がより安全・確実に行えるという利点があるので、ほとんどの場合で白内障手術を同時に行います。
手術が終わりましたら、リカバリールームで20-30分ほど休んでいただきます。術後の説明を聞いていただき、血圧に問題なく、ご気分が悪くなければご帰宅となります。
術後は眼帯をした状態でお帰り頂きます。翌日の診察まで外さないようにしてください。